近年、エンターテインメント業界で注目を集めているのが「体験型エンタメ」です。従来の映画や演劇のように「観る」だけではなく、参加者自身が物語の主人公となって楽しむ新しい形のエンターテインメントとして、世界中で急速に市場が拡大しています。
今回はそんな「体験型エンタメ」について、凡例とともに見ていきましょう。
体験型エンタメの定義と特徴
まずは体験型エンタメとは何なのかについて説明していきます。
没入体験(イマーシブ)の概念
体験型エンタメとは、参加者が現実と仮想の境界を越えて、完全にその世界観に「没入」できるエンターテインメントの総称です。英語では「Immersive Entertainment」と呼ばれ、「没入」を意味する「Immersive」という言葉が示すように、参加者は単なる観客ではなく、物語の一部として積極的に関わることができます。
従来のエンターテインメントでは、「観る側」と「観られる側」の明確な境界が存在していました。しかし、体験型エンタメでは、この「第四の壁」と呼ばれる境界を取り払い、参加者自身が俳優や登場人物として物語に参加できるのが最大の特徴です。
説明を聞くだけでもワクワクしてきますね。
いったいどんなことが可能になるのでしょうか?
五感を刺激する総合体験
体験型エンタメの魅力は、視覚や聴覚だけでなく、触覚、嗅覚、場合によっては味覚まで含めた五感をフル活用した体験ができることです。これにより、参加者は従来のメディアでは得られない深い感動と記憶に残る体験を得ることができます。
私自身VRなどを体験したことがありますが、味覚まで活用したものがあるとは思いませんでした。
技術の進歩はすさまじいですね。
体験型エンタメの主要ジャンル
体験型エンタメには多様なジャンルが存在し、それぞれ異なる特徴と魅力を持っています。以下では代表的な6つのジャンルについて見ていきましょう。
リアル脱出ゲーム
株式会社SCRAPが2007年に始めた「リアル脱出ゲーム」は、日本発の体験型エンタメとして世界的に注目を集めています。参加者は制限時間内に謎を解きながら、設定された空間からの脱出を目指します。
典型的な形式では、4〜6人のチームで約60分間の謎解きに挑戦し、小謎から中謎、そして最終的な大謎へと段階的に難易度が上がっていく構成となっています。累計動員数は800万人を超え、現在では全国各地で様々なテーマの公演が開催されています。
こちらは知っている、または体験したことがある人も多いのではないでしょうか?
ユーチューブなどを見ても、リアル脱出ゲームを実況している動画が多くあります。
マーダーミステリー
中国で大ブームとなった「マーダーミステリー」は、参加者が殺人事件の関係者となって犯人を探し出す推理ゲームです。各プレイヤーには個別の役割と背景が設定されており、情報を共有しつつも隠しつつ、議論を通じて真相に迫ります。
体験時間は2〜4時間と長めですが、その分深い没入感と心理的な駆け引きを楽しむことができます。日本でも専門店が増加しており、「これからミステリー」などの企業が市場をけん引しています。
こちらは初めて聞いた方も多いと思います。
説明を見たところ人狼ゲームのリアルバージョンでしょうか?
まるでミステリードラマの登場人物になったような感覚が味わえそうです。
イマーシブシアター
2000年代にロンドンで始まったイマーシブシアターは、観客が舞台の一部となって参加する体験型演劇です。従来の劇場のような固定席はなく、広い空間全体が舞台として活用され、観客は自由に移動しながら物語を体験できます。
2024年3月に東京・お台場にオープンした「イマーシブ・フォート東京」は、このコンセプトを取り入れた世界初のイマーシブ・テーマパークとして話題を集めています。
技術的な形でなくてもこのような体験方法があるのは驚きでした。
映画のエキストラのように俳優の演技を間近で見れるというのは、引き込まれ具合も段違いになりそうですね。
VR/ARアトラクション
最新のVR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術を活用したアトラクションも急速に普及しています。東京ジョイポリスの「Zombie Survival」やハウステンボスの「VRの館」など、全国各地のテーマパークでVR体験が楽しめます。
短時間で高い没入感を得られるのが特徴で、技術の進歩とともにより臨場感あふれる体験が可能になっています。
体験型エンタメと聞いてVRやARが最初に浮かんだ方も多いのではないでしょうか?
現在は様々なゲームもリリースされており、我々の生活に馴染んできた技術だと感じます。
デジタルアート体験
チームラボに代表されるデジタルアート施設も、体験型エンタメの重要なジャンルです。プロジェクションマッピングやインタラクティブな技術により、参加者の動きに反応して変化するアート作品を楽しむことができます。
「チームラボボーダレス」や「チームラボプラネッツ」など、国内外から多くの来場者を集める施設が各地に展開されています。
私は学校の校舎を使ったデジタルアートを見たことがありますが、「ドクターストレンジ」なみに建物が動いて見えました。
ただの映像だと侮っていた自分が恥ずかしいです・・・
テーマパーク型体験
従来のテーマパークも体験型エンタメの要素を取り入れた進化を遂げています。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのハリー・ポッター エリアや、東京ディズニーリゾートの新アトラクションなど、より没入感の高い体験を提供しています。
ハリーポッターの呪文が使えるエリアはテレビにも取り上げられるなど、大きく話題になりましたね。

体験型エンタメを支える主要技術要素のインフォグラフィック
急成長する世界市場
私たちの生活の中に増えてきた体験型エンタメですが、世界的にはどのように成長しているのでしょうか?
市場規模と成長予測
世界の没入型エンターテインメント市場は急速な成長を続けています。2022年の市場規模は838億ドルでしたが、2030年には4,574億ドルまで拡大すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は23.6%という驚異的な数値を示しています。
この成長の背景には、VRやAR技術の進歩、消費者の体験志向の高まり、そしてコロナ禍を経た新しいエンターテインメント需要の増加などがあります。
コロナを経たからこそ成長した技術と聞くと、良い悪い関係なく、様々な要因が私たちの生活につながっていることが感じられますね。
地域別市場動向
地域別では、北米が44%の市場シェアを占めて最大の市場となっていますが、ヨーロッパ(28%)やアジア太平洋地域(22%)も急速に成長しています。特にアジア太平洋地域は27.5%の成長率が予測されており、今後最も注目される市場です。
日本市場も「イマーシブ・フォート東京」の開業を皮切りに本格的な成長期に入ったと考えられており、海外展開を視野に入れた事業者も増加しています。
体験型エンタメの将来展望
体験型エンタメは今後どのような成長を遂げるのでしょうか?
デジタル技術の進化
5G通信の普及やAI技術の発展により、体験型エンタメはさらなる進化を遂げると予想されています。リアルタイムでの高精細映像配信や、AIによるその人のニーズに合った体験の提供などが可能になり、より没入感の高いコンテンツが登場するでしょう。
メタバースとの融合
メタバース技術の発達により、物理的な制約を超えた体験型エンタメの可能性が広がっています。仮想空間でのイベント開催や、リアルとバーチャルを組み合わせたハイブリッド型体験など、新しい形態のエンターテインメントが生まれています。
個人的には、アニメや漫画に出てくるような世界を体験したいと夢見てしまいます。
社会的価値の創造
体験型エンタメは単なる娯楽を超えて、教育や社会問題の解決にも活用され始めています。環境問題や多様性への理解を深める体験型コンテンツなど、社会的価値を創造するエンターテインメントとしての役割も期待されています。
時たまテレビでも紹介されますが、VR空間を使った出勤など、会社に行くのが億劫で億劫で仕方がないという方にはぜひとも実現してほしいものになりますね。
まとめ
体験型エンタメは、従来の受動的なエンターテインメントから能動的な参加型体験への大きな価値観の変化を象徴する分野です。テクノロジーの進歩と消費者ニーズの変化を背景に、今後も急速な成長が予想されています。
日本は謎解きゲームやデジタルアートなど、独自性の高いコンテンツを生み出してきた実績があり、グローバル市場でのさらなる展開が期待されています。一方で、技術投資やコンテンツ開発、人材育成などの課題にも適切に対応していく必要があるとのことです。
体験型エンタメは、人々に深い感動と記憶に残る体験を提供する新しいエンターテインメントの形として、今後ますます重要な役割を果たしていくでしょう。
今回の記事はこんなところです。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
それでは皆さん、また次回お会いしましょう。
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